元気な子、元気な小児科医を
会長 横山 純好
新学期が始まりました。保育園、幼稚園、小学校、中学校、高校が模様替えして新スタートです。とりわけ小学校の新一年生はこれまでとは少し違った学校生活が出発します。その新生活のはじまりに、可愛い小さい身体と不釣合いな大きなランドセルを背負って校門を行き帰りする新一年生の姿を見るたびに微笑ましく思い、元気で大きく育ってと声掛けします。
しかし、本来明るく楽しくすくすくと育つべきその子ども達が今さまざまな逆境にあります。生活環境の劣化に加えて医療・福祉の退行、教育問題、虐待等々、枚挙に暇がありません。これらは社会構造の変化と資源の減少に起因し、また方向を間違えた機械文明に伴う環境と人心の荒みから、ということだけでは済まされない多くの問題をかかえていると思われます。
子ども達が元気にすくすくと育つには先ず育てる側の保護者、保育者、教師たちが健康に元気でいることが不可欠です。昨今厳しい社会状況の中で、一部の人たちは職がなく、また精神的に疲弊した様相を呈しておりますが、物資が足りているということだけではなく、身も心も健康で、元気な保護者であるという生活環境づくりが必要でしょう。健やかな保護者のもとでは間違いなく子どもたちは元気に育つと信じております。もちろん成長には葛藤や切磋琢磨も必要ですが、これらを適度に与えるのも保護者、保育者、教師の役目であろうかと思います。
そして子どもの健康を守り幸せに成長するためにもっとも大きな役割を負うのは我々小児科医であることは間違いないことです。小児科医もまた元気で健康でなければ子どもの健康を見守ることは出来ません。ところがその小児科医がいろいろな面で疲弊していると言われています。地方の小児医療を担っている病院から小児科医がどんどんいなくなっております。また主に一次の医療を担う開業小児科医も急病センター出務をはじめとして、その過密な業務のため疲弊しております。まさに地方の小児医療が崩壊しております。これには医師を供給し医療を提供する側からみた問題、医療を受ける側からみた問題等、様々な原因があります。それらが個々の場合において複雑に入り組んでおりどれも簡単に解決される問題ではありませんが、一番の被害者は子どもたちです。行政をはじめとして関係者皆で早急に対策を講じる必要があります。元来小児科医は子ども好き、「子どものにこやかな顔を見れば日々の疲れもすぐ消える」というのがモットーであり、小児科医は疲れていても子ども達相手にいつもニコニコとしていますが、このニコニコが消えてしまわないようにしなければなりません。
我々兵庫県小児科医会は子どもたちの健康と幸せを守るために活動いたしております。それは子どもを守ることのみならず、子どもを取り巻く社会を良くし、また小児科医が健全に働けるようにすることを希求いたしております。政権が代わり子どもに手厚い政策等がマニュアルとして打ち出されてはおりますが、まだまだわが国の子どもの医療福祉に対する対応は先進国に比較して低いと言わざるを得ません。また虐待や痛ましい不慮の事故が後を絶たずに連日新聞等で報道されております。我々一小児科医にできることは限られておりますが、皆の力を結集しまた医師会、行政、関連学会とも連携してこれらの諸問題に対応して行きたいと存じます。4月から役員の陣容も少し入れ替わりましたが、これまでどおり子どもたちの健康と幸せのために全員一丸となって頑張っていく所存であります。よろしくお願いいたします。
平成22年4月

