子どもとテレビ・ビデオの上手なつきあい方 保健委員会委員 播磨 良一(小児科医)
- Question
乳幼児がテレビ・ビデオを見ることについて、最近色々な問題があるといわれていますが、実際に乳幼児は、テレビ・ビデオをどれくらい見ているのですか。 Answer
日本小児科医会の調査では、1歳までの乳児の90%がテレビ・ビデオのある部屋で過ごしています。テレビ・ビデオのついている時間は2時間以内が30%、3時間以上は70%。6時間以上ついているのは、8%もありました。
授乳中や食事中についているのは60%。乳児に意識的に見せ始めた年齢は、6ヶ月未満が15%、6ヶ月〜1歳が35%、1歳過ぎると64%でした。
テレビ・ビデオとの早期接触と長時間接触の実態が明らかになりました。
- Question
子ども向けビデオや教育用ビデオだったらいいですか。 Answer
いいえ、テレビと同じと考えて下さい。
- Question
乳幼児が長時間テレビ・ビデオを見ると何か問題があるのでしょうか。 Answer
テレビ・ビデオの長時間視聴は親子の愛着形式を防げ、発育に影響を与えることが心配されます。
最近、小児科医や発達の専門家から、言葉の遅れ、表情が乏しい、親と視線を合わせないなどの症状(言語発達や社会性の遅れ)を抱えて受診する幼児の中に、テレビ・ビデオを長時間視聴しており、その視聴を止め、親子で遊ぶことを指導すると改善が見られる例があることが報告され、テレビ・ビデオの長時間視聴が発達に悪い影響を及ぼす可能性が指摘されています。
- Question
実際にテレビ・ビデオを長時間見ていると言語発達や社会性の遅れを引きおこしているという調査報告があるのでしょうか。 Answer
3つの調査報告があります。
@ 2004年の1歳6ヶ月の乳幼児健診対象児1,057名の養育者へのアンケート調査では、テレビを2時間以上見ている子どもで言葉の発育の遅れが認められました。
A 2004年の1歳6ヶ月の乳幼児健診対象児1,900名の養育者へのアンケート調査では、4時間以上見ている子どもで、テレビを見ながら親と一緒に歌ったり、声をかけたりすることがない場合は、言葉の発達の遅れがそうでない子どもの2.7倍と高率でした。従って長時間1人で見せてはいけないと思われます。
B 2007年3歳6ヶ月の乳幼児健診対象児1,180名の養育者へのアンケート調査では、4時間以上テレビを見ている子どもでは、社会性の遅れの頻度が高かったようです。
- Question
日本小児科学会、日本小児科医会が「乳幼児のテレビ・ビデオ視聴に関する提言」を2004年に行っていますが、どんなものですか。 Answer
1.2歳以下の子どもにはテレビ・ビデオを長時間見せないようにしましょう。
目安は2時間まで。内容や見方によらず長時間視聴児は言語発達が遅れる危険性が高まります。
2.授乳中や食事中はテレビをつけないようにしましょう。
3.子ども部屋にはテレビ・ビデオを置かないようにしましょう。
4.乳幼児にテレビ・ビデオを一人で見せないようにしましょう。
見せるときは親も一緒に歌ったり子どもの問いかけに答えることが大切です。
5.テレビ・ビデオはつけぱなしにせず、見たら消しましょう。
6.乳幼児にもテレビ・ビデオの適切な使い方を身につけさせましょう。
見終わったら消すこと。ビデオは続けて反復視聴しないこと。
- Question
乳幼児期にテレビを見過ぎた子どもが大きくなった時、弊害がおこるとい う調査報告があるのでしょうか。 Answer
2005年アメリカでの報告では、乳幼児期にテレビを見過ぎた子どもほど6〜7歳の時点でみると、集中力が欠如し、落ち着きがなく、注意欠陥障害になる危険性が高く、また認知能力(読字力、読解力、計算力、数の記憶力)の低下が報告されています。
アメリカでは、2歳まではテレビ・ビデオは見せないようにとの勧告が出ています。
- Question
テレビ・ビデオを見る時間を減らすにはどうすればよいでしょうか。 Answer
テレビにカバーでおおいをする。テレビのない部屋で遊ばす。授乳中や食事中はテレビ・ビデオをつけないようにしましょう。また親子で遊んだり、絵本の読み聞かせをしたり、外で遊んだりしましょう。市役所の子育て支援課などに問い合わせて親子で集まれる場所(児童館や子育てサークルなど)にいくのもよいでしょう。
- Question
永年テレビ・ビデオを見てきましたのでなかなかやめられません。なにかよい方法はありませんか。 Answer
まずは家族で話し合い、1週間に1回テレビのない日をつくるのがよいでしょう。
だんだんテレビのない日を増やしていくのがよいでしょう。
食事中にテレビをつけているご家族では、一度テレビを消してみるのもよいでしょう。2007年7月のリビング新聞が協力者で行った調査では、15家族中12家族で「いつもより会話がふえ、食卓での雰囲気がよくなった。」と報告されています。


