子どもの権利について考えてみましょう
コルチャック先生のこと
皆さんはコルチャック先生を知っていますか? 映画にもなったことがある位だから一度は聞かれたことがあると思います。 小児科医で児童文学作家、そして孤児院の院長として教育者として生涯を子どもの為に捧げたポーランドのユダヤ人です。第二次大戦中、ナチスの迫害で孤児院の子どもたちがガス室送りになった時も、高名なコルチャック先生だけは助けてあげようとしたナチの提案を受け入れず、子どもたちと一緒にガス室に消えていった人物です。命がけで子どもたちの権利を守ろうとしたためです。 100年前に彼は次の言葉を残しました。 「子どもはだんだんと人間になるのではなくてすでに人間である。そう人間なのであって人形ではない。彼らの理性に向かって話しかければ我々のそれに答えることもできるし、心に向かって話しかければ我々を感じ取ってもくれる。こどもはその魂において、我々が持っているあらゆる思考や感覚を持つ才能ある人間なのである。」 こんな考えのもと、コルチャック先生は子どもの立場から「子どもの権利の尊重」の理念を主張してきました。日本が1989年に批准した国連の「子どもの権利条約」は、この「子どもの権利の尊重」が深く影響しているといわれています。現在192の国が「子どもの権利条約」に批准しています。
子どもの権利条約のこと
条約には子どもには4つの権利があり、国や大人はそれを守らなくてはいけないということが書いてあります。
1.生きる権利
防げる病気などで命を失わないこと。
病気やけがをしたら治療を受けられること。
2.育つ権利
教育を受け、休んだり遊んだりできること。
考えや信じることの自由が守られ、自分らしく育つことができること。
3.守られる権利
あらゆる種類の虐待や搾取などから守られること。
障害のある子どもや少数民族の子どもなどは特別に守られること。
4.参加する権利
自由に意見を出したり、グループを作って自由な活動ができること。
すべての子どもが持つ権利について書いてきました。しかし子どもには義務はありません。ただ大人(政府、親など)に子どもの権利を守る義務があるのみです。すなわち「権利を主張するならばまず本人(この場合は子ども)が義務を果たせ」という言葉はここでは通用しないのです。
しかしこれまで本当に子どもの権利が守られてきたのでしょうか。児童虐待・体罰・不登校・学校での殺傷事件など問題は山積しています。
兵庫県小児科医会は子どもの権利を守るため活動しています。
- 子どもの権利条約の前文を掲載しておきます。
興味ある方は以下のホームページをご覧下さい - 外務省 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jido/index.html
ユニセフ http://www.unicef.or.jp/kenri/joyaku.htm
児童の権利に関する条約 前文
この条約の締約国は、 国際連合憲章において宣明された原則によれば、人類社会のすべての構成員の固有の尊厳及び平等のかつ奪い得ない権利を認めることが世界における自由、正義及び平和の基礎を成すものであることを考慮し、 国際連合加盟国の国民が、国際連合憲章において、基本的人権並びに人間の尊厳及び価値に関する信念を改めて確認し、かつ、一層大きな自由の中で社会的進歩及び生活水準の向上を促進することを決意したことに留意し、 国際連合が、世界人権宣言及び人権に関する国際規約において、すべての人は人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、出生又は他の地位等によるいかなる差別もなしに同宣言及び同規約に掲げるすべての権利及び自由を享有することができることを宣明し及び合意したことを認め、 国際連合が、世界人権宣言において、児童は特別な保護及び援助についての権利を享有することができることを宣明したことを想起し、 家族が、社会の基礎的な集団として、並びに家族のすべての構成員、特に、児童の成長及び福祉のための自然な環境として、社会においてその責任を十分に引き受けることができるよう必要な保護及び援助を与えられるべきであることを確信し、 児童が、その人格の完全なかつ調和のとれた発達のため、家庭環境の下で幸福、愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべきであることを認め、 児童が、社会において個人として生活するため十分な準備が整えられるべきであり、かつ、国際連合憲章において宣明された理想の精神並びに特に平和、尊厳、寛容、自由、平等及び連帯の精神に従って育てられるべきであることを考慮し、 児童に対して特別な保護を与えることの必要性が、1924年の児童の権利に関するジュネーヴ宣言及び1959年11月20日に国際連合総会で採択された児童の権利に関する宣言において述べられており、また、世界人権宣言、市民的及び政治的権利に関する国際規約(特に第23条及び第24条)、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(特に第10条)並びに児童の福祉に関係する専門機関及び国際機関の規程及び関係文書において認められていることに留意し、 児童の権利に関する宣言において示されているとおり「児童は、身体的及び精神的に未熟であるため、その出生の前後において、適当な法的保護を含む特別な保護及び世話を必要とする。」ことに留意し、 国内の又は国際的な里親委託及び養子縁組を特に考慮した児童の保護及び福祉についての社会的及び法的な原則に関する宣言、少年司法の運用のための国際連合最低基準規則(北京規則)及び緊急事態及び武力紛争における女子及び児童の保護に関する宣言の規定を想起し、 極めて困難な条件の下で生活している児童が世界のすべての国に存在すること、また、このような児童が特別の配慮を必要としていることを認め、 児童の保護及び調和のとれた発達のために各人民の伝統及び文化的価値が有する重要性を十分に考慮し、 あらゆる国特に開発途上国における児童の生活条件を改善するために国際協力が重要であることを認めて、次のとおり協定した。


