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肺炎球菌ワクチン・ヒブワクチンについて(2012年)

ヒブワクチン・小児用肺炎球菌ワクチンとは、どんなワクチンですか?

「ヒブ」を知っていますか?Haemophilus influenzae type bの略称(日本語ではインフルエンザ菌b型)で乳幼児の重症感染症の原因菌の一つです。最初にインフルエンザ感染者から発見されたために、この「インフルエンザ菌」という名前がつきましたが、皆さんご存知の「インフルエンザウイルス」とは別物です。

「肺炎球菌」を知っていますか?名前の通り肺炎の原因菌の一つで乳幼児では重症感染症を起こす菌です。
これらは決して珍しい菌ではありません。これらの菌が起こす重症感染症とは…
化膿性髄膜炎(かのうせいずいまくえん) (注)細菌性髄膜炎(さいきんせいずいまくえん )ともいいます
髄膜(脳や脊髄の表面を覆う膜)を侵す病気です。乳幼児では熱以外に症状がないことが多く, その多くは発見が遅れます。治療されても3人に1人は死亡するか後遺症(てんかん, 麻痺, 発達遅滞など)を残します。日本では、化膿性髄膜炎は毎年約千人がかかります。そのうち60%がヒブ、20%が肺炎球菌によるものです。

急性喉頭蓋炎(きゅうせいこうとうがいえん) のどに感染して窒息死する病気。Hib感染症の8%を占めます。発症してからの経過が早いので, 診断されたときには手遅れのことがあります。

菌血症(きんけつしょう) 菌血症は、高い熱以外に症状がないのに、細菌のいるはずのない血液の中に細菌が増えている状態のことで、菌血症から細菌性髄膜炎などになることがあります。日本では年間約18,000人の子どもがかかっています。その一部は化膿性髄膜炎の原因となります。肺炎球菌が87%, ヒブが13%を占めます。

その他に蜂巣炎、関節炎、肺炎、骨髄炎等と様々な疾患を引き起こします。
世界保健機構(WHO)による全世界での2000年の推計によりますと、ワクチンで防げるはずの病気で乳幼児が亡くなる原因として、麻疹(はしか)の約78万人についで多いのが、ヒブの約46万人です。

アメリカでは1988年にヒブワクチンが導入され、2006年の予防接種率は94%となり、重症ヒブ感染症はほとんど見られなくなりました。1998年にWHOは各国に乳児への定期接種を推奨する声明を出しました。同様に現在では多くの国で実施され、定期接種に組み込まれています。ヒブワクチンを定期接種している国では、ヒブによる髄膜炎は過去の病気となりました。欧米諸国と遅れをとること20年、わが国でもようやくヒブワクチンが2008年12月から自費ではありますが接種できるようになりました。又、欧米では 2000年頃から子どもにも有効な小児用肺炎球菌ワクチンが使用されて、かかる子どもが激減しています。日本では欧米から10年遅れて2010年2月に、小児用肺炎球菌ワクチンが発売になり接種できるようになりました。生後2か月から9歳以下、とくに4歳代までのお子さんはすぐに受けるようにしてください。

ヒブワクチン・小児用肺炎球菌ワクチンの接種スケジュール

ヒブワクチンも肺炎球菌ワクチンも生後2か月から接種できます。 1度の接種では効果が持続しないため、 1歳までに3回(初回免疫)、 1歳を過ぎてから1回(追加免疫)の合計4回接種します。 生後2か月では、ヒブ、肺炎球菌ワクチンとB型肝炎、ロタウイルスワクチンとの同時接種が可能です。生後3か月からは、B型肝炎、ロタウイルスワクチンに加え、三種混合ワクチンの同時接種も可能です。

また、接種開始月齢が遅れると接種回数が異なってきますので、接種開始が遅れた場合はかかりつけ医と相談して下さい。髄膜炎が起こりやすい生後6か月までに初回3回の接種を済ませておくようにしてください。かかった子どもの半数以上は1歳前ですので、接種回数が減る1歳まで決して待たないでください。 他のすべてのワクチンと同時接種可能ですが、間隔をあけて接種する場合は、生ワクチンからは27日、不活化ワクチンからは6日以上あけます。ヒブ・肺炎球菌ワクチン接種後は、6日以上あけて接種します。 かかりつけ医の先生と相談して予定を組みましょう。

ヒブワクチン・小児用肺炎球菌ワクチンは、なぜ乳児早期に接種する必要があるのですか?

ヒブは乳幼児の20人に1人 肺炎球菌は乳幼児の2〜5人に1人の鼻の中に住んでいることが判っています。それが血液の流れを介して髄膜炎を引き起こします。これらの菌は保育園や幼稚園で感染していきます。保育園や幼稚園に通っている兄弟からも感染するといわれています。そして保育園や幼稚園でヒブに罹る危険度は1歳未満:12.3倍1〜2歳:7.2倍2〜3歳:3.8倍と, 幼いほど高いのです。細菌性髄膜炎の発症率は、生後3ケ月を過ぎると急速に増加し、6ヶ月がピークで、3歳を過ぎると減少します。こうした理由で乳児期早期にヒブワクチン・肺炎球菌ワクチンを接種することが必要なのです。ハイリスク児(早産児・白血病・HIV感染症等の免疫不全)では、さらにその必要性は高いです。

ヒブワクチン・小児用肺炎球菌ワクチンの副反応は?

現行の三種混合ワクチン(DPT)の副反応発現率と同等かそれ以下とされています(注射部発赤・腫脹・硬結・疼痛、発熱等)。すべての先進国で、10年以上前から定期接種とされており、日本で使用されているヒブワクチン製剤だけで全世界の子ども達1億5千万人以上に接種された実績があります。2011年3月にヒブ・肺炎球菌ワクチン接種後の死亡例が報告されましたが、いずれの症例につきましても専門家によりワクチン接種との直接的な明確な因果関係は認められないと評価されています。

ヒブワクチン・小児用肺炎球菌ワクチンには予約が必要ですか?接種料金は?

2010年末から公費助成が始まりました。予診票(接種券)の受け取り方などくわしくはお住まいの自治体までお問い合わせください。

ヒブワクチン・小児用肺炎球菌ワクチンの今後について

1990年代から、欧米諸国ではヒブワクチンが導入され、2008年には既に130ケ国以上で定期接種に組み込まれています。結果、ほとんどの先進国でヒブによる重症感染症はないといっても良い状態になっています。小児用肺炎球菌ワクチンも2000年から定期接種化しているアメリカでは、ワクチンで予防できる肺炎球菌による重い感染症が98%減り、45ヶ国で定期接種となっています。ようやく「予防接種後進国」日本でも、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチンが接種できるようにはなり、公費助成も始まりましたが、日本の子どもたちを守るためには、「定期接種」として、日本のどこに住んでいても、無料で誰でも受けることができる環境が必要と考えます。ワクチンが生物製剤という「薬品」である以上、万が一、健康被害が発生したときの適切な救済措置を準備しておかなくてはなりません。そのためにも「定期接種」とする必要性があるのです。