兵庫県小児科医会

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医会報巻頭言より

もっと、外に目をひらいて(兵庫県小児科医会副会長 谷口賢蔵)

兵庫県小児科医会副会長 谷口賢蔵

この原稿は8月初旬に書いています。戸外では、蟬の声が騒々しく暑さをいっそう増しています。各地で夏祭りが始まり、盆踊りの季節となりました。私の診療所は、古い酒蔵が建ち並ぶ今津郷にあり、盆踊りが盛んです。しかし、問題も多いようです。一番の問題は、祭りの世話役が70代以上の高齢者ばかりだとのことでした。若い世代は、祭りには来てくれるのですが、世話役は敬遠して引き受けてくれないとのことです。まるで、小児科医会と同じような問題を抱えているようです。地区の小児科医会では、若い先生方の参加がなかなか得られなくて盆踊り化が進んでいます。

先日、恐ろしい夢を見ました。大学の卒業試験の日に、眠ってしまい何の準備も出来ていない状態で目が醒め、うろたえている夢です。30年以上たっても、トラウマとして残っているのですネ。私は出来の悪い医学生でした。そんな私でも、一人前の小児科医になれました。学問としての医学と臨床としての医学はまったく違うものだと実感しています。大事なことは、知識と経験は本からは学べなくて、実践と先輩からのアドバイスから学ぶものだということです。開業してからは、何にでも興味を持ち、さまざまな会に参加して来ました。小児科関係では医師会の乳幼児保健や学校保健委員会に参加し行政と関わるようになると、教科書では習ったことのない知らないことばかりで驚き、熱心に勉強しました。そして、さまざまな科の講演会に積極的に参加すると、今まで見えなかったものが見えてきました。小児科という小さな窓からは見えなかったものが見えるようになってきたのです。皆さまの周りには、すばらしい先輩達がたくさんいます。積極的にかかわらないと、宝の山を逃してしまいます。若い先生方に、地区の医師会や医会の活動に積極的に参加することをお勧めします。きっと、今まで見たこともない世界が見えてくるでしょう。

マススクリーニング(兵庫医科大学 小児科学教授 竹島泰弘)

兵庫医科大学 小児科学教授 竹島泰弘

私が研修医時代、初めて地方会で発表した演題が、子宮内発症の脊髄性筋萎縮症の一例でした。今思うと、重症型であるいわゆる「0型」ということが発表の主旨だったのだと思いますが、当時は、何もわからず発表していました。2年目に赴任した加古川市民病院(当時)では、病棟に人工呼吸管理中の脊髄性筋萎縮症の患者さんが長期入院しており、定期的な挿管チューブ交換の際に、オーベンではなく私が喉頭鏡を持っていくと、その子が泣き出したのを覚えています。その後も、この疾患の多くのこども達と出会いました。2017年、脊髄性筋萎縮症に対する核酸医薬が保険収載されました。そして、早期からの治療が、より有効であることが示唆され、早期診断への動きが加速しています。その方法の一つが新生児マススクリーニングです。

1977年に先天代謝異常症等新生児マススクリーニングが始まり、2012年からタンデムマス法が導入されました。このような動きと並行して、新たな治療法が開発された疾患に対するマススクリーニングが、熊本県など複数の地域で始まっています。ファブリー病・ポンペ病など治療法のあるライソゾーム病に加え、愛知県では重症複合型免疫不全症に対するマススクリーニングも開始されています。これらのスクリーニングは有料で5000~8000円程度ですが、受検率は9割を超える地域もあると聞いています。現在、神戸大学・兵庫医科大学小児科では、脊髄性筋萎縮症も含め、兵庫県・神戸市と拡大マススクリーニング導入に向けて協議を行っているところです。

一方、「シトルリン」はマススクリーニングですでに測定されている項目で、高値は精査の対象になっていますが、低値が精査対象ではありません。私たちは、シトルリン低値に着目して、遅発型オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症のスクリーニングの検討を進めています。

「治療法のある疾患は早く診断したほうがいい」と考えておりましたが、精査対象と伝えられた、あるいは無症状で診断されたご家族の思いに対する真摯な対応、診断後の治療システム、医療経済的な検討など、考えなくてはならない課題が少なくありません。今後も先生方とともに検討を進めていきたいと思います。

2020年7月

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