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子どもの日焼けについて

2016年8月6日 神戸新聞「すきっぷ」掲載記事より
梶山小児科・アレルギー科 梶山瑞隆

少し前までは、真っ黒に日焼けした子どもたちが元気いっぱい走りまわっていて、「日焼けは健康の証」のように考えられていました。しかし、紫外線は皮膚に良くないということがわかってきて、真っ黒に日焼けした子どもが減ってきました。そのきっかけとして、1998年に、母子手帳の生後3~4か月児の生活指導から日光浴を推奨する文章が削除されたことが挙げられます。
最近では、保護者の美容への意識の高まりもあって、乳幼児の日光浴を極端に避ける傾向がみられます。しかし、紫外線を過度に怖がる必要はありません。紫外線の何が悪いのか、いかに紫外線を避けたらいいのかについて簡単に説明します。

「日焼け」という現象には、皮膚が黒くなる日焼け「サンタン」と皮膚が赤くなってヒリヒリする日焼け「サンバーン」の2種類があります。
紫外線には、UVAとUVBがあり、UVAはサンタンの原因であり、長期的には皮膚のたるみやしわなどの光老化を引き起こします。一方、UVBは発赤、紅斑、水疱の症状となるサンバーンを起こし、皮膚の老化や皮膚がん、目の白内障の原因になります。子どもの皮膚は、成人に比べ表皮が薄く、紫外線に対するバリア機能が弱いと言われています。しかし、紫外線には悪い面だけではなく、ビタミンDを合成して、くる病などの骨の成長が悪くなる病気を予防する作用もあり、適度な日光浴は必要と言われています。1日に必要量なビタミンDを産生するために、東京で夏場に3分間、冬場に50分間の外出が必要と言われています。ただし、この時間はあくまで目安で、その個人の肌体質、持病、住んでいる地域によって異なります。すべての乳幼児にできるだけ日光浴を避けるというのは行き過ぎと思われます。

屋外活動する場合は以下のことに気をつけるとよいでしょう。

  1. 時間を工夫する
    一番紫外線が強くなる4~9月の10~14時はできるだけ避けるか、紫外線対策をしっかり行いましょう。
  2. 場所を工夫する
    日陰やテント、パラソルを積極的に利用しましょう。曇りでも紫外線は多いので注意は必要です。
  3. 帽子、服で覆う
    濃い色のほうが紫外線をよく吸収しますが、熱中症を防ぐためには淡い色が良いでしょう。
  4. サンスクリーン剤を上手に使う
    普通の屋外遊び程度では、SPF15以上、PA++~+++で十分でしょう。
    まず一度均一にたっぷり塗り、もう一度同じ量で重ね塗りをします。特に耳たぶ、首などの塗り忘れや塗りむらがないようにしましょう。時間とともに効力が落ちますので、2~3時間おきに塗り直しましょう。
    プールや海では、耐水性のものを使いましょう。